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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2021年06月04日
  • その他

西表島におけるシロアゴガエルの捕獲について

令和3年6月1日(火)21時10分頃、上原集落内の私有地で、特定外来生物「シロアゴガエル」を発見し、翌日2日20時半頃、当該個体を捕獲したのでお知らせします。 他のシロアゴガエルも生息している可能性がありますので、鳴き声を聞いたり、木の枝やコンクリート壁面等に生み付けられる泡巣(泡状の卵塊)を発見した際には、西表自然保護官事務所までご連絡をお願いいたします。 また、島外から搬入される資材や機器等に付着して侵入する可能性があるため、資材搬入の際には、シロアゴガエルの成体や卵塊等の付着がないか、十分にご確認をお願いいたします。

1.シロアゴガエルとは

東南アジア原産のアオガエル科の1種です。沖縄諸島や石垣島では既に広範囲に定着しており、「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されています。西表島の在来カエルと生息環境や餌資源をめぐる競合が懸念されており、また、新たな寄生虫感染をもたらすリスクがあります。

シロアゴガエルは在来のカエル類や昆虫等の在来無脊椎動物などへの影響を及ぼすおそれがあるとして、2006年2月「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づき特定外来生物に指定されており、飼育、保管及び運搬等が禁止されています。

シロアゴガエルは体長5cm~7cm程度で、体色は茶褐色や場所によっては黄みがかった色をしています。ほっそりとした体つきをしていて、脚が長いため、在来のヌマガエル等と比べると全体的に細長く感じられます。口先の部分が細くとがっていることも、在来のカエルには見られない特徴です。同じく特定外来生物に指定されているオオヒキガエルとは異なり、高い場所に上ることが得意なので、壁や木の上で発見されることもあります。

2.捕獲された個体について

  1. 捕獲日時:令和3年6月2日 20時30分頃

  2. 捕獲場所:竹富町字上原681-59付近(下図参照)

  3. 個体情報:オス、成体、体長55mm

  4. 捕獲経緯

6月1日(火)21時15分

シロアゴガエルの鳴き声を、現地調査員が確認。その後、別の現地調査員および環境省職員が合流し捕獲を試みるも、捕まえることができず断念。

6月2日(水) 9時30分

シロアゴガエル捕獲用の音声誘引装置と水桶トラップを確認場所付近に設置

6月2日(水) 19時00分

環境省職員により確認地点および周辺エリアの調査を開始。

同日 19時30分

シロアゴガエルの鳴き声を確認したため、環境省職員および現地調査員で捕獲作業を開始。

同日 20時30分

シロアゴガエルを捕獲。

※現地調査員:沖縄県八重山地域における外来カエル類拡散防止対策検討業務における現地調査員

3.八重山諸島のシロアゴガエルの状況

1964年に沖縄島中部で発見されたシロアゴガエルは、次第に分布を広げ、平成19(2007)年に石垣島で初確認されました。その後、生息域を広げ、平成26(2014)年には石垣島全域で生息が確認されるようになりました。

西表島では翌年の平成27(2015)年に上原地区で初確認され、専門家の助言を受けながら、成体61個体を捕獲、卵塊35個を採集する等取り組んだ結果、令和元(2019)年10月に個体群の根絶宣言を発表したところです。平成29(2017)年7月には船浮地区でオスの生体が捕獲された事例はあるものの、約4年間シロアゴガエルは確認されていませんでした。

4.環境省の取り組み

環境省では平成13年度から西表島において、オオヒキガエルやシロアゴガエル等外来カエル類の侵入防止を目的としたモニタリング調査を実施しています。

今後、島内に侵入したシロアゴガエルの拡散を防止するため、シロアゴガエルが発見された場合は個体の捕獲や卵塊の除去等を行います。また、専門家の意見等もふまえ、今後さらなる防除策を進めてまいります。

5.ご協力のお願い

シロアゴガエルの繁殖期は4~11月の期間です。鳴き声が響く今の季節が、個体を発見しやすい時期と言えます。

シロアゴガエルらしき鳴き声を聞いたり、姿を見たり、木の枝やコンクリート壁面等に生み付けられる泡巣(泡状の卵塊)を発見したら、西表自然保護官事務所(電話:0980-84-7130)までご連絡をお願いいたします(ヤエヤマアオガエルの卵塊は見た目が似ていますが、多くは12月以降に確認されます)。

また、シロアゴガエルは資材等に紛れて広がるおそれがありますので、石垣島をはじめ沖縄県内の他の島から資材を搬入する際や、西表島内で資材を運搬する際には、シロアゴガエルの成体や卵塊などがついていないか、十分にご確認をお願いいたします。

 シロアゴガエルの鳴き声や特徴などは以下のページから確認できます。

※沖縄奄美自然環境事務所HP「オオヒキガエルとシロアゴガエルについて」

http://kyushu..env.go.jp/okinawa/wildlife/mat/m_2_2.html

<6月2日に捕獲したシロアゴガエル>

《資料写真》シロアゴガエルの卵塊

■捕獲地点図

■ 問い合わせ先
環境省沖縄奄美自然環境事務所
 所 長  東岡 礼治
担 当:西表自然保護官事務所
    自然保護官 内野 祐弥
電 話:0980-84-7130(西表野生生物保護センター)